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2007年10月19日(金)更新

高校の“実習ショップ”で商売感覚を磨く

学校の授業で「実習」程度に職業体験をするという話は聞いたことがありますが、どうやら最近では、その動きがかなり本格化しているようです。今回は、その一例を紹介したいと思いますが、神奈川県立小田原城東高校では、チャレンジショップ「Gestoreおだわら」を作り、全国の農水産高校が実習で作る食品を流通させているそうです。

店名の「Gestore(じぇすとーれ)」とは、イタリア語で「経営者」という意味で、文字通り次世代の経営者を育てることを目的としているのでしょう。農業校や工業校には、それぞれ「農場実習」「工場実習」があるのに対し、商業校には、実際に職業体験できる施設がほとんどないのが現状だそうです。


じぇすとーれ


世の中にないのであれば作ってしまおう、とばかりにオープンしたのがこの「Gestoreおだわら」。そもそも、市主催の「起業プランコンテスト」で金賞を受賞したことをきっかけに、その賞金10万円とPTAからの出資金30万円を元手に、地元の商店街にも相談しながら、平成16年4月にJR小田原駅近くの小田原銀座商店会の空き店舗に開設したそうです。
かれこれ4年目になるわけですが、高校生同士のネットワークを活かしながら、扱う商品をインターネットで探し、「安全なものの販売」を基本方針に運営してきたそうです。現在は、静岡県立下田南高校“産”の「モロヘイヤの粉末」や、神奈川県立三崎水産高校“産”の「ツナ缶」など、24道府県45校と取引をしているとのこと。

取り扱い品目はゆうに150種類を超え、北は北海道の「ほたて水煮」から、南は沖縄の「ゴーヤ麺」まで、バラエティ豊かな品揃えを実現しています。授業終了後の午後3時から6時まで、2~4人の生徒が交代で、制服姿で店舗に立つそうです。

ただ、3年間続いた市からの家賃補助が今年で打ち切られることもあって、今後の存続には本格的な「経営」を余儀なくされるようですが、定休日の毎週月曜日には、生徒18人からなる「店舗経営同好会」で幹部会議を開き、いろいろな企画を話し合うのだそうです。

7月には、東国原宮崎県知事の人気に目をつけ、「宮崎フェア」を企画。高校だけでなく、企業からも「名産品」を仕入れることに成功し、「宮崎フェア」の好評ぶりにかなりの手ごたえをつかんだといいます。

今後は、経営安定を目指して、業者に製造を委託する「自主開発商品」も検討中だといいますから、ぜひ頑張って欲しいものですね(*^^)v

こうした高校生ならではの感性や積極性が地元の商店街にも好影響を与え、さらには自治体などと上手にコラボレーションできれば、地域に「好循環」が生まれるはずです。

この事例から学べることは、今までビジネス界に関係なかった層の人たちをこんなふうに上手に参加させることで、ビジネスに違った角度が生まれるということです。

たとえば、開発した新製品を幼稚園に持ち込んで、「どれがいいですかぁ~?」と聞いて手を挙げさせ、その結果を写真と一緒に「○○幼稚園の園児が選びました!」みたいに告知したりするのはどうでしょう。同じ新製品の告知でも、ぐっと話題性が上がり、メディアにも取り上げられやすくなるはずです。

または海外にまで裾野を広げ、「ケニアで選ばれた・・・」みたいな切り口も楽しいですよね。こんなふうにアイディアはどんどん広がります。ぜひ、発想力豊かに自社のビジネスを捉えなおしてみてください (@^^)/~~~