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2007年01月12日(金)更新

生涯現役・深夜に開くパン屋さん

今年の年明けはどのように迎えられたでしょうか? 年頭に当たり、さまざまな目標を掲げられたことと思いますが、本年もみなさんのお役に立てるような情報を発信していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

さて、今年最初の話題は「キクヤベーカリー」のお話です。マスコミなどにも取り上げられているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、東京は目黒の商店街にあり、深夜1時頃になるとお店のシャッターが開くという「幻のパン屋」さんなんです。


kikuya


店主は84歳になられる小林慎吾さん。寒空の中並んで待ってくれるお客さんもいるそうで、こんな時間にもかかわらず開店と同時に3坪ちょっとの店内はすぐに満杯状態。商品は20種類ほどありますが、約200個の菓子パンやサンドイッチは2時間足らずで売り切れてしまうので、だいたい午前3時頃にはシャッターを閉めるような生活を、小林さんはもう20年も続けているそうです。

元々は、近くの企業内の売店だけで営業するパン屋さんだったそうですが、パン工房の前を通りかかった方から「いいにおいがするので寄ってみたんですが、売ってもらえないでしょうか・・」と言われることも多くなり、昼間の売店の営業が終わると、もう一度パンを焼き、深夜にパン工房での販売を始めたんだそうです。

企業の売店は、昨年の3月で辞め、今はパン工房での販売のみをしているそうですが、20年も続けていると「深夜のパン屋さん」とお客さんに認知され、あてにもされてしまいますから、営業時間を変えることもせず、お客さんのある限り、ずっと今のままで続けていくようです(~o~)

小林さんは、陸軍の仲間が目の前で敵弾に倒れるという過酷な戦争体験の持ち主で、「小林、日本のことを頼むぞ!」と死んでいった友の言葉に応えるべく、食こそが戦災からの復興の礎だと考え、パン工房を今の地に構えたそうです。

店名の「キクヤ」は、陸軍時代の小銃についていた菊の紋章からとったもの。銃ではなく「パン」で日本を豊かにしたいと、雨の日も風の日も思いをこめてパンを焼き続けたんですね。

さらに、集団就職の少年や、警察から世話を依頼された若者らを積極的に雇うなど、社会貢献にも熱心で、この小林さんのような諸先輩方のおかげで、今の豊かな日本があるのだと思うと、まさに頭の下がる思いです。

私たち経営者には定年がありませんから、自分の心がけしだいで「生涯現役」という生き方も選べるわけです。自分の会社はもちろん、日本全体、さらには地球全体が豊かで幸せになるような仕事をしたいものだと、志を新たにしてしまいました。

みなさん、今年も頑張っていきましょう(@^^)/~~~