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1杯3,000円のラーメン!? 世の中と逆に舵を切る「藤巻激城」とは

投稿日時:2008/11/14(金) 13:22rss

世の中に「ラーメン好き」な人は多いものですが、「1杯3,000円」のラーメンを、あなたは食べる勇気があるでしょうか? 

ラーメン界は浮き沈みの激しい世界で、毎年の“流行の味”に乗り遅れると、パタリと客足が途絶えてしまうもののようです。なんでも、今年は「とんこつ魚介系」がブームみたいですが、各店がしのぎを削るなか、そんな戦いは“どこ吹く風”とばかりに、全くの“別次元”にいるラーメン店があるのです。


ラーメン


そのラーメン店とは、東京は中目黒にある「藤巻激城」というお店なんですが、住宅街のなかの極めてわかりにくい場所にある、まさにちょっとした“お城”のようなお店みたいです(*^_^*)

昨年(2007年)の11月にオープンしたこの店は、40坪のフロアーにたった8席のカウンターしかなく、メニューは「1杯3,000円」のラーメンが3種類のみ。ただし、4人以上で3日前に予約をすれば、1杯1万円の究極のラーメンも食べられるそうです(――;)
一瞬、「こんな高いラーメン誰が食べるんだ?」などと思ってしまいそうですが、オープン当初からラーメン通の間で話題になり、今年の9月からは「完全予約制」にしたほどです。完全予約制のラーメン屋さんなんて、聞いたことないですよね?

じつは店主の藤巻さんは、16歳で料理の世界に入り、中華畑で腕を磨いてきた人物で、2年前に池尻で始めたラーメン店は、超人気店となりました。世界3大スープのひとつでもあるタイの「トムヤムクン」をベースにしたそのラーメンは、たびたびマスコミにも登場し、店には連日行列が絶えなかったそうです。

ところが、ふつうの店主なら喜ぶだろうその現象を前に、藤巻さんは「客を並ばせたくない」と強く思ってしまったのです。そこからがまたユニークなのですが、店を拡大するのではなく、真逆に舵を切りました。

藤巻さんがとった戦法は「値上げ」。1杯800円だったラーメンを、1,500円にまで値上げしたそうです。その後、いったん池尻の店を閉店し、コンセプトを徹底的に練り直し、味に磨きをかけて「1杯3,000円」のラーメンで再出発したというわけです(*^^)v

誰にでも真似できる業態ではないかもしれませんが、多店舗展開を狙わず、藤巻さん本人がずっと店に立っておいしいラーメンを作っていくなら、経営的にも十分成り立つと思います。

もはや、ラーメン界でさえも、規格品を量産する時代ではないのかもしれませんね。ますます激化する「価格競争」とは無縁のこうした世界があることも、経営者としてぜひ知っておいてください。

自社製品の品質に自信がある会社は、この事例をヒントに、「思いっきり高い商品を限られたお客さんに売る」という戦略も視野に入れるべきかもしれません(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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