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「まいあめ工房」のヒットに学ぶ

投稿日時:2007/12/14(金) 18:18rss

名古屋の菓子問屋「ナカムラ」が、今春オープンしたネットショップ『まいあめ工房』が好調のようです。

同社では、あめ職人の技能を広めようと、10年ほど前からオーダーメイドによるあめの受注をしていました。それが最近になってクチコミによる噂になりはじめ、大口の注文もポツポツと入り始めるようになったことから、社長が「ネット上でもオーダーメイドの受注をはじめよう」と、今年の3月にサイトを立ち上げたそうです。


まいあめ


いざサイトをオープンしてみると、各地から100件を超す注文が舞い込んだとか。なかでも一番多いのは「企業のロゴ」を入れて欲しいという注文で、保険会社などが営業の際に配るのに用いるそうです。
一方、個人による注文では、結婚式を控えたカップルから「2人の名前とハートのマークを入れて欲しい」といったものや、初孫の名前を入れて欲しいといった注文もくるそうです。

その他にも学校の校章を入れて欲しいだとか、人気タレントから自らの似顔絵を入れてくれという、ちょっと変わった依頼もあるそうですから、告知の仕方によってはまだまだいろいろなニーズが掘り起こせそうですね(*^^)v

このところ、菓子業界を取り巻く環境は厳しいものがあるようで、中小の菓子業者は「冬の時代」を迎えています。コンビニに押される形で、主要販路の駄菓子屋が次々につぶれているのもその現われの一つですが、そんな状況下においてお菓子のネット直販が好調という現象に、業界からも熱い注目がよせられているそうです(*^^)v

この「まいあめ工房」では、1セット3,500個で42,000円からの注文を受けているようです。これを商売の単位と考えると金額的に大きいわけではないのですが、エンドユーザー相手であることを考慮すると、利益率はものすごく高いのだろうと思います。

ビジネスモデルを組み立てるにあたっては、薄利多売的に大きな額の売上を追いかける道もありますが、もう一方には「少ないお客様」から「水準以上の利益をいただく」という道もあることを忘れてはいけません。

世の中のニーズがこれだけ多様化した現在では、1社が多くのお客さんを相手にするのはかなり難しいのかもしれません。逆に言うと、それぞれの会社が自社にメリットを感じてくれているような顧客を、大切にフォローしていく時代になったのだということです。

さらに面白いのは、この「まいあめ工房」が、結果的に『他社に対して、自社の商品(=あめ)を使った広告の提案』をしたのと同じかたちになったということです。これって、言わばグーグルと同じ広告モデルですよね(*^^)v

この切り口であなたの商品を考えてみると、新たな生かし方やたくさん収益を生む方法、利益率の高いビジネスに移行できるチャンスがある…ということに気づけると思います。

この「まいあめ工房」の場合も、ただ『売り先』を変えただけで違った結果になったわけです。この事例を参考に、自社のビジネスモデルを柔軟に見直してみてもいいかもしれませんね(@^^)/~~~

ボードメンバープロフィール

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石原 明(いしはら あきら)氏

僖績経営理舎株式会社代表取締役
AZ Collabo株式会社

ヤマハ発動機株式会社を経て、外資系教育会社代理店に入社。約6万人のセールスパーソンの中で、トップクラスの実績を収める。「セールス・マネージャー世界大賞」を受賞後、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立。中小企業から大企業まで、業種や企業の規模を問わず幅広いコンサルティング活動を行っている。毎年の講演回数は100回以上。ビジネスの発想力やマーケティング力を開発・育成する「新経営戦略塾」には1000人が登録し学び、全国延べ4500社が参加。
2万人の読者を抱えるメールマガジン『石原明の「新経営戦略塾」』や、独自の視点で経営を綴るブログ『石原明の経営のヒント』も執筆中。大人気Podcast番組『石原明の経営のヒント+(プラス)』は累計ダウンロード数6000万回を超えている。著書に、累計30万部を超え『営業マンは断ることを覚えなさい』(三笠書房)、『「成功曲線」を描こう。』(大和書房)、『トップ3%の会社だけが知っている儲かるしくみ』(KADOKAWA)などがある。

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